眼の病気について
硝子体混濁、出血
病気の原因
正常な硝子体は無色・透明で生卵の白身に似た状態の組織ですが、この部分が何らかの原因で混濁(濁って)している状態が「硝子体混濁」です。混濁を起こす原因として考えられる疾患は:
- (1) 後部硝子体剥離、網膜裂孔(網膜剥離)
- (2) 増殖糖尿病網膜症
- (3) 網膜中心静脈閉塞症
- (4) 加齢性黄斑変性、その他の網膜下新生血管
- (5) 外傷
- (6) ぶどう膜炎
- (7) 眼内炎(目の中の感染症)
- (8) その他
などが考えられます。
手術の必要性・放置した場合の可能性
硝子体混濁(出血)は自然経過で吸収する可能性もありますが、一度吸収しても再発を繰り返す事が多く、再発を繰り返しているうちに自然吸収しにくくなります。また、長い間硝子体出血があると、血液の中にある鉄分の為に網膜の機能が低下し、出血が吸収してもあまり視力が改善しないことがあります。
更に、大切なことは、混濁(出血)の原因となった疾患を的確に治療する必要があります。この原因となった疾患に対する根本的治療が遅れると失明する可能性も考えられます。
手術手技
硝子体手術で硝子体を(硝子体出血がある場合は出血も同時に)取り除きます。眼底(網膜)の状態が確認でき、混濁(出血)の原因となった病気が明らかとなれば、それぞれの原因疾患に対する治療を同時に行います。
- (1) 網膜裂孔(網膜剥離)
- (2) 増殖糖尿病網膜症
- (3) 網膜中心静脈閉塞症
膜中心静脈閉塞症の場合には、網膜の血管が閉塞している部分にレーザー凝固を行いますが、網膜剥離があれば、網膜に小さな穴を開けて網膜の下にある水を抜きながら、目の中に空気などを入れて網膜を目の内側から外側に押しつけます。
さらに、必要があれば、強膜に細いシリコンのバンドを巻いて“バックリング”を行います。目の中に空気などを入れて手術を終了する場合には、手術後に、うつむきの姿勢をとるようになります。 - (4) 加齢性黄斑変性、その他の網膜下新生血管
この場合は、網膜の下にある新生血管の場所が確認できていれば、その部分に対してレーザー治療を行います。新生血管からの出血が、硝子体だけでなく網膜の下にも溜まっている場合には、網膜に小さな穴を開けて網膜の下にある血液を抜きながら、目の中に空気などを入れて網膜を目の内側から外側に押しつけます。
さらに、必要があれば、強膜に細いシリコンのバンドを巻いて“バックリング”を行います。目の中に空気などを入れて手術を終了する場合には、手術後に、うつむきの姿勢をとるようになります。なお、目の中にシリコンの油を入れて手術を終わる場合もあります。 - (5) ぶどう膜炎
ぶどう膜炎のために網膜に変化がある場合、レーザー凝固等、必要に応じた治療を行います。
さらに、手術で採取した硝子体についていくつかの検査を行い手術後の治療方針を決めることもあります。 - (6) 眼内炎(目の中の感染症)
目の中の感染症の為に網膜に変化がある場合、レーザー凝固等、必要に応じた治療を行い、さらに、感染に対して効果が期待できる抗生物質(薬)で目の中を洗い流します。
手術で採取した硝子体についていくつかの検査を行い手術後の治療方針を決めることもあります。