眼の病気について

網膜前線維症(黄斑前膜)

病気の原因

 網膜前線維症(セロファン網膜症)は、眼底中心部の網膜にセロファンのような薄い線維性の膜が癒着し、その結果、物が歪んで見えたり、視力が低下する病気です。

 一般的には、硝子体(網膜と水晶体との間にある生卵の白身のような組織)が年齢による変化で収縮し、その時、網膜に硝子体の一部が取り残されたり、逆に網膜の表面の組織が硝子体と一緒に剥がれたりするためにその場所に薄い線維性の膜が癒着すると考えられています。

 このような場合の他に、網膜剥離の手術後、網膜の裂孔(裂け目)等に対する治療の後、更には、眼底のその他の疾患に続いて、同じような変化が起こる場合もあります。

→網膜前線維症(黄斑前膜)のOCT画像はこちら


網膜前線維症

中心窩付近の網膜に白い薄い膜(→参照)が癒着しています。

手術の必要性・放置した場合の可能性

 早期の手術が望まれる

 眼底中心部の網膜に癒着した薄い線維性の膜が自然に網膜から剥離する確率は2%程度ですので、物が歪んで見えたり、視力の低下等の症状が現れる前に手術を受けられたほうが網膜前線維症による症状を予防する効果があります。

 当院では、OCT検査(眼底三次元画像解析検査)で網膜に異常が認められ、放置しない方が良いと考えられる場合には手術をお勧め致します。

 放置してもこの病気だけでは失明する可能性はほとんどありませんが、視力が0.1程度に低下してから手術を受けられても、多くの場合、視力の改善はほとんど望めません。

手術手技

 硝子体手術を行います。

  • (1) 硝子体を取り除きます。
  • (2) 網膜に癒着している薄い線維性の膜を除去します。
  • (3) 網膜の他の部分に穴などがあれば、必要に応じて処置を行います。
  • (4) 網膜に癒着している薄い線維性の膜を除去する際に、網膜に小さな傷や裂け目ができることがあります。この場合、これらの傷や裂け目に対してレーザー凝固を行い、さらに、必要があれば網膜を眼内から眼球壁に強制的に押しつける目的で眼内に空気などを入れます。空気などを入れた場合、手術後、空気などが傷や裂け目に当たるように「うつむき姿勢」といって、角膜(くろめ)が地面を向くような姿勢をとって頂く必要があります。